空白、空虚、素寒貧。

 

「こんな
あり得ないほど明るい夜は
さみしくって
ひきっぱなしの布団の上でだらだら
およぐ」

つまらない台詞を、彼女は言う。
悲しいかな、それは詩じゃないさ。

 

あのとき
無いものを誇れば
勝てたのかな
世界の事なんて
実はあんまりわかんないんだよ
無い物は
逆さにふっても
無いんだよ
空っぽさ

無から有を本気で信じている
彼女の横っ面に
ばか
って書いて
うすわらいしながら
ポケットを裏返す

なんにもないだろ

「うすわらいしてても
およいでいても
さびしい
頭をなでてくれればいいのに
都合よくできてるんでしょう
世界は」

つまらない台詞を、彼女は言う。
悲しいかな、それは詩じゃないさ
たぶんほんとうは全部嘘だ