夜
おとぎ話を実行し損ねた
何処までも続く曇り空を見上げ
ちゃんと分かっているのに
変わっていくすべては
ひどく無神経なように思えた
きっとそういうふうにしか生きれない
悲しいと思うのは場違い
冷たい雨は路地を過ぎてく
黒い石畳に酔った
確かに不変を信じている
嘘つき呼ばわりを笑って
今の時間を止め置くために
曇り空を見上げ
君に依る
つめたい夜
残酷に選る
そっと寄る
白骨化した死体のような悲しみのことを考える
そのうちいつか羽が生えて
空を飛べるんじゃないかって
誰かが言ってたような気がする
さよならを言いう余裕もなく
人々は濡れた道を急ぎ行く
手持ちぶさたに街灯を数える
蛍光灯に蛾が寄った
僕に依る
曇りの夜
慎重に選る
二度と寄ることもない