レナが一人部屋にいる、部屋の中央にはバケツが一つおいてある
(SE 雨音 バケツに水が落ちる音)

レナ 早く雨止まないかな、雨漏りするなんて聞いてないわよ。
あーあー、誰とも連絡つかないし。やることないな。


チャイムの音 レナは扉を開ける、アメが入ってくる


レナ あー、アメじゃん。久々だね。
アメ おっひさー!どのくらいぶりかな?
レナ 学校終わってからだから、かなりたってるよね。半年・・・もっとかな
アメ まあどうでもいいんじゃない。あ、これ土産ね。ちょっと旅行してきたんだ。
レナ ありがと嬉しい。なに?
アメ 海賊版のCDとインスタントトムヤンクンとかっこいいデザインの素焼きのツボ。CDはレナが好きだ
っていってた歌手のだよ、読めない字書いてあるけど気にしないで。

レナ また始末に困る物をくれるのね・・・。嬉しいということにしておくわ。まあ上がってあがって
、狭い部屋だけどね。このCDかけてみて大丈夫なの?
アメ いきなりコンボが煙を噴くことはないと思うけど、まあ好きなように。
レナ こわいわねー。あ、ちゃんと聞ける。

アメ あれ、雨漏りしてるの?
レナ ああこれ?うんちょっと前から。床にバケツ置くなんてマンガみたいな目に遭うとは思わなかっ
たけど、雨上がったらすぐ直すわよ。
アメ なんでなおすの?
レナ なんでって、雨漏りなんだよ。なおさないと。
アメ ワタシ、雨漏り愛好家連合の一人だから。マイテント古いから雨降るとすごいんだ。ま、それが
楽しくてこのテント使ってるんだけど
レナ 物好きね。さすがに。
アメ ふふふ。だってすごいんだよ。この水ってね、ここに降る前には別のなにかだったんだよ、ここ
に降った後にはまた別のなにかになるんだよ。
レナ そういう感覚ってちょっと理解に苦しむのよね。一体なにが楽しいの。
アメ どきどきしない?
レナ しない。
アメ 例えばねぇ、いまバケツに落ちたのは。きっと元熱帯の花の花弁だよ。  

(F・Oで暗転  少年が舞台の目立たない端っこの方にねっころがってる、一人の少女が上手から四つん
這いで舞台に出てくる、手に持った弓に矢をつがえて引く。)


メト はずしたっ!おしいな。今日の獲物は鳥一匹か。
このままだとお祭りの日に捧げる獲物がないままだ。狩りの神様のお祭りに立派な獲物を出さないと・
・・、

そのまま下手へ退場しようとする、転がった少年を見つけて驚く

メト 神様?・・・・・んなわけないか。変な髪の色。生きてるみたいだけど、ねてんのかな。どっから来たんだろう。

メト少年の顔を覗き込む。少年、急に目を開ける。

少年 (ねっころがったまま)あ・・・・えーっと、君、誰?
メト あたしはメト。
少年 どこ。
メト なにが?
少年 ここが。
メト ここは森だよ。おまえこそ誰だ?
少年 僕はグスコー・ブランニュウ・クラムトシュ。栄えあるマニーナ調査団の一員だ、通訳にして言
語学士の資格を持っている。君の様な小娘に言っても分からないだろうがねマニーナ調査団といったら
本国では・・・
メト オマエうるさい。どうしてこんな所に倒れていたんだ。
それにどうしてそんなに長い名前をしているんだ?最期のだけで十分じゃないか。トシュ、いい名前だ
、とてもいい意味だ。
トシュ どんな意味があるんだ?
メト そうだな、お祭りの前の日に新しい柔らかい靴を履いたときや甘い木の実を一口齧った時の気分
のことを言うんだ。トシュって言うのは。
トシュ 子供じみた安易な感情だな、素晴らしいとも思えない。
メト 哀しい奴だな。ならオマエはなんでこんな所にいるんだ。
トシュ 本隊からはぐれてしまったんだ、きっと向こうも探してる、この近くにいないと。メト あた
しの村に来るか?
トシュ え?
メト もうすぐ雨の降る季節が来るから。長く待つんだったらあたしの村へ来た方がいいと思う。
トシュ まあ研究もできるし、一石二鳥だけど。いいのか?
メト それなりに働いてもらうけどね。

適当にしゃべりながら下手に退
暗転  (村)

メト よかったな、長老に許可がもらえて。
トシュ うん・・・だけど仕事が、布を織るというのはちょっと・・・・
メト だってトシュは狩りにむく体型じゃないもん。
トシュ 銃があるじゃんか。
メト ジュウ、ジュウって何?
トシュ え、知らないの?ほんとに?銃だよ?
メト わかんない、少なくともこの村にそんなものはない
トシュ しらないんだ。じゃそのうち見せてあげるよ。
メト 気になるって、教えろよ。
トシュ そのうちにね。そしてメトには見せてもいいけど、他の誰にも言わないこと。約束して。
メト わかったよ。じゃ代わりに美味い木の実のある所に案内してあげるよ。
トシュ ふーん、ホントに美味しいの?
メト 失礼な奴だな、ワウの実といえば私たちにはご馳走だぞ。
トシュ そうなんだ、聞いたこと無いけど。
メト オマエのとこに無かっただけさ、ほんとに美味いんだから。
トシュ 分かったって、今から行く?
メト どっちでもいいけど、どうする?
トシュ じゃ、今からいこー
メト お前、仕事はー?
トシュ いーって、いーって。調査が俺の本職だー。
メト 追い出されても知らんぞ、まあ私の事じゃないからいいけど。

(しゃべくりながら退場)

トシュ(off) ねーこっち?
メト(off) 違うっ!こっちこっち、あーそうそう、その木の下くぐって 
(登場)
メト ここ、ここー。
トシュ ここだけなんか広場みたい。おお、葉っぱのせいで空が緑だ、教会のステンドグラスみたい。
花まで咲いてる。(メトの頭につけて)似合うじゃん
メト そ、そうかな。ところでなに、そのステンドグラスって、教会って?あれ、ないな・・・今の時
期ならある筈なんだけど。
トシュ 教会ってゆうのは神様のいるところさ、ステンドグラスってゆうのは色の付いた透明の板を組
み合わせて作った飾り窓のこと。
メト お前の国には神様は決まったところにしかいないのか!それではとうてい皆の行いを見ることは
出来ないな。ここにはどこにだってなんにだって神様がいるぞ。いいだろう、どこにいたってかみさま
が見ててくれる。
トシュ そういう超自然的な物に依存した考え方は嫌いだな。実をゆうと僕は自分の国のかみさますら
信じてないんだ。
メト まあいいじゃないか、オマエの話は難しくて良く分からないよ。いると思えばどこにだっている
し。いないと思えばどこにもいないんだ、かみさまは。あたしはかみさまを信じなかったせいで死んだ
後どこにも行けないしなんにもなれなかった人の話を聞いたことがあるけど、オマエがそうなるとは思
えない。あ、あったあった。これだよ(果実を差し出す)
トシュ ありがと。これがワウの実?きれいな色だね。
メト そうだろ、あたし達のご先祖様が食べ物が無くて苦しんでいるところに、かみさまが落とした首
飾りの石がこの実になったんだよ。
トシュ またかみさま?ほんとにここにはかみさまが溢れてるんだな。
メト また難しいことをいう。ほら食べて(自分の果物を齧って)美味しいぞ。
トシュ (ちょっと齧って)あま〜〜〜〜〜〜〜〜っ、まず〜〜〜〜〜〜〜〜っ
メト ちょっと待て、不味いってなんだよ!
トシュ 不味いから不味いっていったんだよ!甘すぎる!
メト (トシュの果物をひったくって、一口齧って)うまいじゃんか!
トシュ いや、不味い!僕のデリケートな舌にはあわない。
メト いい、あたしが一人で食べる。
トシュ そうしてくれ、水はないのか!
メト 向こうの方にわき水があるから勝手に飲めば?
トシュ そうするよ!(トシュ 退場)
メト こんなに美味しいのにまずいなんてトシュの舌はどうかしてる。おかしい、ぜったいおかしい。
変だ変だ変だ!(ぶつぶつ言いながら果実を食べ続ける、そして自分の頭につけられた花に気付き、無
言で地面にたたき付ける)

SE 動物のなき声とか
メト ヤバイ、狩りの道具忘れて来ちゃったよ。しくったな、これは近い。
 まあ、そのまま通り過ぎてくれること祈るけど。
SE 足音 鳥の羽音とか)
メト やっぱにげるか・・・。おーい、トシュー、かえるよー
(SE 台詞後半にかぶるように銃声(複数) 鳥の羽音)
メト 今の音はなんだ!?トシュの行った方だ!(メト、慌てて退場)

(暗転 照明がつくとトシュが一人で拳銃を持って立っている、そこにメトが慌てて走ってくる 地面
に獣の死体(?)が落ちているとベスト)
メト トシュ、今の音はなに?(死体に気付き、怯えたようで)・・・なに?
トシュ これ?殺されるかと思ったんで、つい、ね。
 メトが見たがってた銃でやったんだよ。こういう風につかうんだ。(もう一度引き金を引く)
(SE 銃声(一回))
メト トシュ、それは駄目だ。
トシュ なにが駄目なの?
メト これはかみさまの持つような力だ、あたしやトシュが使っていい力じゃない。
トシュ なにゆってんの、僕殺されそうだったんだよ。それにかみさまなんて!馬鹿じゃないか、これ
は科学だよ、かみさまなんかの力じゃない。人間の力だよ。
メト ここにはかみさまが溢れているってトシュもゆったじゃんか!この獣だってかみさまだ!いくら
殺されそうになったからってかみさまの死体を侮辱しちゃいけない。
トシュ ブジョク?ああ、さっき死んでんのに銃打ったこと?だってこいつが悪いよ身の程知らずにも
人間様に向かってくるなんてさ。それから偽善じみたことゆわないでよ、メトなら分かってくれると思
ったのに。
メト 知らない、もう口きかないから。
トシュ 分かったよ謝るよ、ごめんて。一緒に帰ろうよ。
メト 知らない、知らないから。
(SE 雨音(ぽつぽつからいきなり土砂降りで))
トシュ 風邪・・・ひくよ。
メト いいよひいたって。
トシュ こじらせたら死ぬかもよ。
メト うん・・・。
トシュ メトは、死んだらどこいくのかなぁ。
トシュ 僕はどこにいくんだろう。
トシュ 一緒のとこにいけると思う?
メト 分かんないよ、そんなこと。あたし、あんまりトシュのこと好きじゃないし。死んでまで顔見た
くないね。
トシュ 僕は・・・どうだろう、でも国には君より好きな子がいるよ。
メト 寒いね・・・。
トシュ 風邪ひいてもいいんじゃないの。
メト 頭冷えてきた、風邪ひくのはヤ。
トシュ 傘、無いの?
メト 大きな葉っぱが、無い?
トシュ ないよ。
トシュ はな、落としたの?明日晴れるかな?
メト はな?落としたみたい。多分雨よ。
トシュ なんで。
メト だって雨期だもん。
トシュ そんなもんか。
メト そんなもんです。

(少し沈黙)
トシュ ま、そのうち色々なことに納得できるようななるよ。
メト かもね。それは大人になるってゆう事よね。別に大人になんてなりたくないけどさ。
(メト空を見る 暗転)

(レナの部屋 特に変わったところは無し、ただし部屋に花瓶が置いてありそこにさっきまでメトが頭
に着けてた花がいけてある SE雨音 あまもり
レナは拍手をする)
レナ やっぱなんかいーね、アメの作った話は。独特でさ、味があるってゆうか。
アメ えへへ、そうかな照れるな。
レナ じゃあね、今落ちた雨粒は次になんになるか分かる?
アメ きっと、このまま海に行って。
レナ うんうん
アメ そこから蒸発して、また雨になって降って、誰かに飲まれて。そいつの血になるんだ・・・。
(暗転)
(ブラン登場)
ブラン(独白) 遠い未来か、近い未来か。安っぽいSFみたいなことが実際に起こっていた。そう、人
類は死に瀕していた。天変地異によりドームという殻の中に閉じこもった人類は急に流行し始めた伝染
病でとどめを刺されそうになっていた。
(ブラン、ラジオのスイッチを入れる)
(ラジオ F・I)
ラジオニュース ・・・原因はいぜん不明です。頭の中に本来の人格とは違うもう一つの人格が形成さ
れ、それが肥大し本来の人格を崩壊させるという病で、後に作られた人格は皆一様に排他的であったり
あからさまな狂気に支配されていたりと日常生活への適応度は非常に低い事がわかっています。
 病気の初期には全身に羽根のようなアザが見られ、記憶障害や第二人格の片鱗が見えます、第二期に
は本来の人格を見ることが難しくなり、終期には完全に第二人格へとシフトが行われるようです。
 なお初期の自殺率は60%、第二期の自殺率は30% 終期の自殺率は70%
政府が配る予防薬「L−dro7」の摂取を怠らないようにしましょう、なお抑制薬「ルシュフェリー
ラ」は完全な違法薬品です、売らない買わない使わないの三ない運動を徹底させて行きましょう。天使
病情報でした!

(シスはベットで本を読んでいる。ブランはラジオを聞いている、ふりをしてうたた寝をしている)
シス お兄ちゃん、ラジオかえて。513ch。
ブラン う、ああ。はいはい。
(ラジオ C・O 代わりに音楽)
シス やっぱり、なおんないのかな。
ブラン そんなこと無いって、そのうち治療法はみつかるよ。
シス 「L−dro7」ちゃんと飲んでたのに・・・
ブラン 「安全な社会を護るため、予防薬「L−dro7」の摂取を怠らないようにしましょう」か・
・・
シス その後にこう付け加えるべきよ「勿論、クスリの効果は100%とはいきませんが」ってね。
ブラン まあね。あ、シスそろそろ薬の時間だよ。
シス もうそんな時間?リキッドインジェクタどこ?
ブラン なんで素直に注射器ってゆえないかね。ここだよ。
シス やって。
ブラン 自分でやれよなぁ、こんくらい。
シス 首すじだもん、自分でやんのはむずいよ。
(ブラン、シスの首筋に注射器を押し当てる、しばらくしてはずして)
ブラン 終わったよ。
シス アリガト。さ、お兄ちゃんの番ね。
(シス、別の注射器をブランの首に当てる)
ブラン 兄は予防薬を、妹は抑制薬をか・・・。なんかおかしいね。
シス (注射器をはずして)はい終わり
ブラン めんどくせーな、俺これ(注射器を見て)買うときいっつもめちゃくちゃハラハラする。
シス なんで。注射器は普通に売ってるじゃん。
ブラン 注射器じゃないよ、中味。クスリ。「L」
シス ああ、「ルシュフェリーラ」の事?大丈夫だよ、みんなやってるもん。
ブラン 政府の目はザルの目って?俺実はスゲェ気ちっちゃいんだよ。
シス ふん、小心者。
ブラン 実の兄犯罪者にしてけろっとしてる妹もどうかと思うがね。
シス ふふふ、そんなことないよ。実はもうすっごい心配でさぁ、お兄ちゃんってなんてゆーかちょっ
とどじだから。
ブラン そーゆーココロにもないことゆうなよなぁ。
シス あり、ばれた?
ブラン ばればれ、だっておまえ顔わらってるよ。さ、薬注射してからしばらく立ったから飯くお。俺
はらへったわ。
シス はいはい。
(ブラン食事を用意する。ブランはベットの側の床で、シスはベットでそれぞれ食べる。ブランはがつ
がつと慌てて食べるけど、シスは食欲がないカンジでスプーンで皿をかき回している)
ブラン また食わねーの?いらんのだったら頂戴。
シス (皿を渡す)あげる。
ブラン ちょっとは食わねーと、治るもんもなおんないよ。(いいつつシスの皿に手をかける)何した
ら食ってくれる?
シス え、そうだな・・・。
ブラン 何々、なんかあんの?
シス 空が見たいな。太陽と月と星と雲と雨を見たいな。
ブラン シス、おまえまさかそれ全部一緒に見る気・・・
シス なにがおかしいのよ、私たち生まれた時からドームの中で外が見たいってゆーのは普通じゃん。
学校で外のことはちょっと習ったけど、情報は規制されててほんとの所はよく分かんないんだから。
ブラン でも、太陽と月と星と雲と雨が一緒に見れないのは習ったよ、おまえぼけてんじゃな・・・
(ブラン、はっとして口をつぐむ。シス唇を噛んで悔しそうに云う)
シス 天使病の症状だ・・・。
ブラン ただ忘れてただけだろ!そうゆう事じゃないさ。雨だけなら、何とかしてやるよ。
シス 無茶だよ、H2Oがどのくらいの値段するかわかってんの?一級のレア元素じゃん、私たちの身近に
あるのは全部代替え品でそれだけじゃ存在できないから取り出すのは無理だし!!
ブラン まあ落ち着けよ、B/Mで血液を売ればいいのさ。
シス さらに本気!?せいぜい、やっすく買いたたかれるのがオチよ!
ブラン みてろよ、俺はうまくやるからな。
(ブラン、慌ただしく出ていく。シスはベットの上でしばらくぼおっとして、つぶやくように。)
シス お兄ちゃんのばか、ぼけてんのはそっちじゃない。
(暗転 しばらくたって電話の呼び出し音)
シス (暗転のまま)シスだけど。あ、お兄ちゃん・・・なに?え、いまから?トランクに荷物詰めて
?・・・いいわよ、いけばいいんでしょ・・・
(照明つく 道ばたに紙袋を抱えてブランが一人で立っている)
ブラン 遅いな・・・
シス (悠然と歩いてくる)待った?
ブラン 悪いと思ってるなら走る位しろ、ばか。
シス わったっしっは、びょうにん〜♪
ブラン はいはいはいはい、俺が悪う御座いました。
シス で、なんで呼び出したの?
ブラン いや、これ見て。(紙袋の中から弁当箱ぐらいの包みと一枚のFDを取り出す)
シス なにこれ?
ブラン 爆弾と設計図
シス うん、で、それで何をするの
ブラン ドームって外壁の薄いとこあるじゃん。そこをこれでみつけてこれで爆破する。
今は雨期らしいってゆうのを外部の観測データから裏付けたし。いっとくけど、本気だよ。
シス お兄ちゃんのことだからもう見付けてるんでしょ、外壁薄いのってどこ?
ブラン ここ。
シス ふーん、ご都合主義だね。
ブラン まあいいじゃん。外部の放射線レベルもチェックしたよ。
シス どうせ天使病で頭おかしくなるんだ。管理局につかまるのなんか怖くないしね。じゃ最期に薬う
っていかない?
ブラン ここ町中だよ・・・、まあ、いいよ。
(互いの首筋に注射しあって)
シス じゃ、いく?
ブラン 行こうか。
(爆弾を床に置く SE爆発音 暗転 そしてしばらくして、雨音)


場面変わってレナの部屋 アメはFDをいじって遊んでいる、レナは頬杖を付いてぼーっとしている

レナ  あんたさあ、小説家とかになりなよ。売れないかも知れないけど、私はそういう話とてもスキ。
アメ  ありがとう。でもこうゆうのはすぐ消えて行くから奇麗なんだよ。
レナ  そんなものかもね。ご飯食べてく?
アメ  うーん、もう帰るよ。
レナ  まってよ、ご飯くらい食べてってもいいじゃん。ちょっと待っててよ。作るから。
アメ  え、手作りごはん?食べる食べる、レナ料理うまいもん。
レナ  じゃ、そこに座ってて。ラジオ聞いてもいいよ、うちTVないから。

レナ退場

アメ  TVあんまりスキじゃないから、自分のテープかけてもいい?
レナ  どうぞ。

何かを炒めるような音がする、しばらくしてお皿を持ってレナ登場

アメ  うわーおいしそーっ!
レナ  いっぱい食べて、ちょっと作り過ぎちゃったから。

食事をしながら、他愛のない話をひとしきりした後

レナ  で、ホントは何のようなの?
アメ  何のこと?
レナ  ばっくれよーったってそうはいかないよ。アメは昔からそうだ、急に人ん家くるときは何か相
談事があるときなんだ。
アメ  ばればれですか。
レナ  ばればれです、アメの話に出てきた女の子と一緒よ、顔に出てんの。
アメ  昔っから、レナにだけは嘘付けないな。

音楽 照明暗転(F・O) 雨音だけが強くなっていき、やがて消える
場面変わる、風がうるさい。椅子が一つとビール缶が数本転がっている空っぽの部屋。床にアメが倒れ
ている。ドアの開く音がしてレナが入ってくる。

レナ  ・・・アメぇ?なに、アメ寝てんの?よく寝れるねぇこんなうるさいのに。
アメ  この季節は嫌いなんだ。
レナ  なにいってんのよ

レナ、アメの手を引っ張って立たせる。しかし、手を離した瞬間アメが座り込んでしまう。

レナ  なに鬱ってんのよー。うっとうしいわね。
アメ  レナみたいな人に惚れられる人は幸せなんだろうなぁ。
レナ  頭大丈夫?あんた。
アメ  大丈夫だよ。
レナ  (独白)アメがヤバイ状態だというのはすぐ分かった。その前にアメの友達が死んだというの
を人づてにきいていたので、どうしてアメがこんな風になっているのかはすぐ分かった。アメは自分の
ことを強いと思っているみたいだけど、ホントはもの凄く弱くて、華奢で寂しいやつだということを、
分からないほどばかじゃなかった。
ある日アメは急に落ち込みだして。ちょっと手首を切ったりしていた。アメは哀しくてばかだった。

レナの独白はアメがビールの缶を蹴った音で遮られる

レナ  いつまでもぐちゃぐちゃしてないでよ。あんたいつから煙草なんて吸ってんの?煙嫌いだから
やめてよ。
アメ  うんやめる。もともと好きじゃないし。火は付けてないよ、くわえてるだけ。
レナ  何で好きでもないのに吸ってんのよ。火がついてないんだったらココアシガレットでもくわえ
ときゃいいんじゃない?
アメ  供養、かな?ハルが好きだったから。
レナ  それが友達の名前なの?
アメ  うん、いいやつだったの。かっこいいやつだったの。
加え煙草がもうすごいにあっててね、やばいくらいに。でもね時々声が、声が子供じみていて、それが
哀しかった。
レナ  よく分かんないわ。
アメ  一緒にいると、『stand by me』の線路の上を歩いているみたいな気分になれた。
レナ  それはいい友達だったのね。
アメ  なんで先にいってしまったんだろう。
レナ  神様も友達がほしかったのよ。
アメ  でも、神様に嫌われそうな性格だよ。わがままだったもん。
レナ  しらないわよ。
アメ  ハルぅ・・・・・・
レナ  また泣く、そんなにそいつが大切なら後追い自殺でもすれば?
アメ  ああいいかもそれ、一緒に死ぬ?
レナ  あんたと心中なんて死んでもごめんだわ。
アメ  そんな〜、アメちゃんには魅力がないのかな〜あ?
レナ  ふざけないでよ。
アメ  冗談だよ。でも本当に、ほんとうは・・・

台詞後半 風の音にかき消される。雨音がそれに被さるように聞こえてくる。アメは扉を開けて出てい
き、レナもそれに続く。暗転、舞台変換。外。

レナ  降ってきたね
アメ  うん
レナ  傘いる?

傘を差し出す

アメ  いらない。この雨がナイフなら切り刻まれて死ねるのに。 
レナ  あのさ・・・
アメ  この雨がウイスキーだったら呑みまくって忘れられるのに、どうして雨は水なんだろう。
レナ  不幸の主人公ごっこはやめてよ。あたしはあんたを忘れない。

レナ、傘を開いてアメに押しつける

アメ  この雨が罪や罰なら・・・・
レナ  なら?
アメ  この傘でワタシたちは救われたのかも知れない。
レナ  あんたの話は難しいのよ。家の中いってよ、さむいじゃない。
アメ  うん・・・

暗転 照明がつくと舞台は元のレナの部屋 雨音、雨漏り音はまだ続いている

レナ  あんたよくそんな事覚えてるのね。
アメ  へへへ、嬉しかったことはね。といーたい所だけど哀しいことの方がよく覚えてるかな。
レナ  まあ人間多分そんなもんよ。で、今度は何があったの。
アメ  ちょっと長めに旅行に行くんだ。もうここには帰ってこないかも知れない。
レナ  そんなことなの?
アメ  ワタシに会えないのは寂しくない?雨止んだね。
レナ  あんたのことだから、どっかで生きてるわよ。ほんとだわりと長く降ってたね。
アメ  うん、まあね。そろそろ行かないと。
レナ  何時の電車?
アメ  30分の電車で空港に。
レナ  おくってくよ。
アメ  いいの?
レナ  餞別とかないからね、代わりといっちゃ何だけど。ガスの元栓とかしめるから、先でといて、
追いかける。

暗転 舞台の端にいるアメにスポット

アメ  (独白)ワタシはもう帰ってこないつもりだった、でもレナに会うために帰ってきてもいいか
なとゆう気がした、レナは昔からそういう人間だった。覚悟が決まらないときに会えば覚悟を決めさせ
る。決まっているときに会えば覚悟が揺らぐ。いい女の証明だ、レナは今までワタシがあった女の中で
一番カッコイイ女だった。

以下、舞台を動き回りながら(客席に降りていってしまっても可)

レナ  おまちどう、駅まで歩く?
アメ  うん、歩く。旅先から絵はがき出すね。
レナ  どこいくの?
アメ  アジアを回ってみたいね、ヨーロッパもいいかも、迷うな。
レナ  じゃあさ、いっそ南国とか。これからの季節日本にいるよりいいかもよ。
アメ  まあとりあえず海外にいる友達の家にでも転がり込むよ。
レナ  そう?まあ生水に気を付けてね。
アメ  はいはい、なんかお母さんみたい
レナ  歯磨きしてこどもはねなさいって?
アメ  そうそう、そんなん。あ、また降ってきた

雨音

レナ  ホントだ、傘持ってきてないのに。
アメ  ワタシ2つもってるから、一つかしたげる

鞄から傘を出して

レナ  いいの?ありがと。
アメ  ねえ、さっきワタシが作った話に救いも傘もなかったけど。あれはまだ続きがあるんだからね
傘はちゃんと出てくるからね。
レナ  そうなの?いつかきかせてね。

駅のホームに着く、電車の音がしきりにしている

レナ  じゃ、そのうち会いましょ
アメ  いつかどこかでね。

電車ドアの閉まる音 照明F・O

 
本・漫画・DVD・アニメ・家電・ゲーム | さまざまな報酬パターン | 共有エディタOverleaf
業界NO1のライブチャット | ライブチャット「BBchatTV」  無料お試し期間中で今だけお得に!
35000人以上の女性とライブチャット[BBchatTV] | 最新ニュース | Web検索 | ドメイン | 無料HPスペース