イス2脚 1×1×1の黒い箱 ME初めから  照明C・I 松原、玉城。イスに座っている  松原   今何時何分?  玉城   9時32分、2日目。  松原   長かったな。 ME F・I   照明F・0  暗転しきってからME F・O 玉城、イスに座っている。松原やってきて、隣のイスに座ろうとする。  松原   ここ、いいですか?  玉城   どうぞ。  松原   あのー、あなたもバイトの方ですか?  玉城   一応そうですけど。  松原   ああー、よかったー。私だけかと思ったんで。でもうまい話ですよね、ちょっと実験に協力するだけで、勇気と元気で一泊二日。10万円なんて。今月ちょうどやばかったんでたすかったーって感じなんですよ。ほんとにもう・・・  玉城   貴方、おしゃべりですね。  松原   ・・・すいません。  松原   そういえば、今何時ですか?  玉城   15時14分。  松原   ありがとうございます       そうだ、自己紹介とかしてませんよね、一緒に働くんだからしてた方がいいですよね。 松原っていいます。将来の夢はイラストレーターです!!あなたは?  玉城   実験体 no.12。  松原   番号聞いてもなんにもならんでしょー。名前はなに、後できれば将来の夢も。  玉城   玉城です。将来の希望は公務員。  松原   玉城、たまき・・・親しみを込めて、たまたまって呼んでいいですか!?  玉城   やめてください。  松原   よろしく、たまたま。私のこと「まっちゃん」って呼んでいいですから。  玉城   やめろっつてんのに・・・  松原   ところでたまたまは、この実験って何なのかご存じですか?なんかいろいろテストとかあったけど。  玉城   さあ、自分も良くは知らないんですが。なんだか人間の思考パターンを調べる実験だとか。  松原   へえ、そうなんですか。      舞台上手よりA登場、もったいぶった動きで中央まで歩く。  A    本日は私どもの実験にご協力いただき、まことにありがとうございます。当実験は様々な状況下における、人間の思考とそれに対する体の反応ということをテーマに数時間おきにお二方のデータをとらせたいただきます。条件はこの部屋から外に出ないこと、食事は一日3回、メニューのカードをお渡しいたしますので食べたい品目にチェックを入れてください。バス、トイレは完備しております。 そのほかは自由にしていただいて結構です。 本日はご協力、まことにありがとうございます。 CO CI  松原   ねえたまたま。  玉城   たまたまって言うな! 松原   卵焼きってふつう甘いよね。  玉城   何でいきなりそんな話になるんだ。  松原   ひどい、せっかく会話の糸口を見つけてあげたのに。  玉城   そんなもんいらんわ、私は一人でも平気なたちなんだ。 松原   人間として生まれてきたからには、コミュニケーションくらい立派にとらないちゃんとした大人になれないよ。  玉城   いや、あんたが言っても全然信憑性薄いし。  松原   でも、卵焼きって甘いよね。  玉城   甘い卵焼きなんて卵焼きじゃない。  松原   ええー?塩派?  玉城   まぁ、そうだな。  松原   うまく行ったらたまたまも「全日本たまご甘いぞ教」のメンバーだったのに・・・。  玉城   てめえの変な宗教に私を巻き込むな!!  松原   今メンバー4人いるんだよ。  玉城   それで満足しとけよ。ああ、そんなもんに入るやつが4人も、この馬鹿はとにかく3人も、この国も終わりだ。  松原   だめだよ5人いないと、弁当戦隊玉子レンジャーができない。  玉城   できなくていいよ・・・  松原   たまたまブラックね。私レッド。  玉城   きめんな。  松原   卵焼きで思い出した、昼ご飯注文しなきゃ 箱からカードのようなものを出してくる、書き込んでいる二人。  松原   やっぱりね、昼飯っていうのは決まったもの食べるのがいいと思うんですよ。  玉城   そうですか?  松原   そうです、現に私なんてもうずっと昼はラーメンって決めてるんですよ。それも、特売のカップラーメンにコショウを一ふり。  玉城   それ、おいしいんですか?  松原  はい、おいしいですよ。  玉城   私はあんまりカップラーメンっていうのは好きじゃないんですけど。  松原   エサっていうのはおいしいものらしーですよ。  玉城   エサ?  松原   はい。なんか誰かがそういってたんですよ。 今、何時ですか?  玉城   12時23分、どうかした?  松原   いやもう昼飯時なのかなって。  玉城   でもそれ、なんか聞いたことある。  松原   えっ?12時23分のこと?  玉城   そう、それは夏のある日の12時23分・・・違うよ、エサのこと。  松原   知ってますか?  玉城 うん、その話ではソバだったけど。エサというのはうまいもので、違うエサをとっかえひっかえ与えられる方がよっぽど迷惑だって。  松原   そうそう、まさにそれっすよ!毎日毎日同じもん食ってると、今日が昨日の続きっていうのが改めてわかって・・・  玉城   わかって?  松原   まったり気分?  玉城   (ちょっと笑って)なにそれ。  松原 あー、たまたま初めて笑った!!笑うとなんかかわいー!!!  玉城   たまたまっていうな!! 席を立つ松原、玉城の方を向いて  松原 もう飯の注文かけました?貸してください、一緒にもってってあげますよー。  玉城   あ、ああ。ありがとう。  松原   めんどくさいっすねー、昼ご飯注文しなきゃなんないなんて。  玉城   でもいいバイトだよな・・・10万円、三食昼寝付きって  松原   昼寝はついてないとおもうんっすど。  玉城   何してもイイってことは、寝てもイイって事でしょー? 箱にカードをほり込む、その瞬間にカップラーメンもってA、箱の中より登場。  松原   嫌いとかいってあんたカップラーメン食ってんじゃねぇかー!!  玉城   ほっとけよ。  A    食事前に薬飲んでください、食後にも。アンケートにお答えください。 A二人に薬を渡す。  A     じゃ、ごゆっくり。 CO CI  松原   私ねー、学校苦手だったんっすよ。  玉城   はいはい。  松原   先生がだいっ嫌いでー、あ、小倉っつーんですけどちょーむかつくんですよ、テストで出すっていってないとこ出したりとか。  玉城   はいはい。  松原 今何時っすかね?  玉城   15時2分  松原   なんか時間たつの遅くないっすかー?  玉城   いや、こんなものだと思うけど?  松原   そうかなぁ?あ、たまたまはどう?学校話ある?  玉城   たまたまっていうな!!  松原   別にいいじゃないすかー、あります?  玉城   ああ、まあ、な。  松原   えー、聞かしてくださいよー  玉城   あんまりよく覚えてないんだ。話すようなことなんか無いよ。  松原   たまたまなんかいいことがあった話とか、教師むかつくとか無かったすか?  玉城   たまたまっていうな!!  松原   違うたまたまですよ。  玉城   お前がいうとそっちでもむかつんくんだ!  松原   んな、めちゃくちゃな!  玉城   めちゃくちゃでも何でもいいから、たまたまっていうな!  松原   わかりましたよー。じゃ、下の名前教えてください。  玉城   もー、玉城でいいだろー  松原   以降気をつけますから。たまた・・・玉城さん。   玉城   そうしてくれ  松原   じゃ、学校話いってみましょうか  玉城   うわー、唐突だなぁ。  松原   たまた・・・まきさんがごねるからですよ  玉城   俺のせいなのか・・・それは俺のせいなのか  松原   そうです。  玉城   でもほんとに良く覚えてないんだ・・・  松原   でもそんなに年とってるようには見えないし、もしや中卒とか?  玉城   いや、結構最近までいってたと思うんだけど、なんだかTVでみた話くらいにしか思い出せないな。幸司に明彦。伸介。ハル、れな、雨木。児玉と倉橋、有馬・・・ どうなったんだろう? あれ?  松原   惚けてんじゃないですか?  玉城   いや、雨木は冗談が好きで、有馬はぼけーっとしたやつで・・・てゆうかお前はちゃんと覚えてんのかよ?  松原   もちろん。  玉城   じゃあ、小学校の時の友達の名前5人いえる?  松原   そのくらいはいえますよ。ニキ、もりやん、ノグチ、さ・・・あれ?  玉城   どしたん?  松原   わすれちゃった。  玉城   人のこといえないじゃん。  松原   あああれー?おかしいなぁ。 玉城   まあ、しょうがないと思えば?どんなことだっていつか忘れるんだし  松原   ええー、でも・・・おっかしいなぁ。おれ転校っ子だから友達だけは多かったのに。   玉城   それ、転校ばっかしてたからじゃ?ま、あんまり深刻にかんがえんなよ  松原   それより、たまた・・・まきさんの友達ってそんなに冗談好きだったんですか?  玉城   ああ、雨木っていうんだけど、こいつのせいで私らの間に第一次冗談ブームが巻き起こったんだ。  松原   第一次、第二次は?  玉城   それも雨木が原因だったな。  松原   第何次まであるんですか!?  玉城   第14次まで。全部雨木が原因で。  松原   第14次って、何年そんなことやってたんですか!!  玉城   さあ、10年くらいじゃないか?  松原   みんな進歩しないんですね。  玉城   進歩はしてたぞ、嘘の内容が。んでいつもだんだん飽きてきてな、自然消滅。  松原   しょうもな。学校ネタ・・・、そういえば小学校の頃同じクラスのゴリラがですね、放課後塀の上に登ってあそんでたんですよ。  玉城   君の学校は動物園か?  松原   へ、何ですか?  玉城   同じクラスのゴリラって!しかも何で塀の上?  松原   あだ名ですよぉ、そんなもん。ゴリラ、エロかったから覗きでもするつもりだったんじゃないっすか?  玉城   お前、ろくな友達いねーなぁ  松原   そんなこと言わないでください、なんだか私がかわいそうな人みたいじゃないですか。  玉城   うーんまぁ、で、どうなったんだ?  松原   ゴリラ塀の上から落ちまして、下に運悪く割れたガラス瓶がありまして、足をざっくり切り裂いて血が噴き出すまでの一瞬脂肪の白いつぶつぶが・・・  玉城   やめてくれ。  松原   ニキとかはこっそりナイフ持ってきててね、階段で転んだひょうしに  玉城   やめろって、それにどこが学校ネタなんだよ。  松原   イヤなんか友達の名前言えなかったのがしゃくで、仕返しを。  玉城   この暇人。   A舞台上手から回りながら登場。手にはコップの乗ったお盆  A    お薬の時間デーす。薬物投与ですよ〜〜〜〜♪♪♪♪ 二人コップを手に薬を飲み干す  CO CI  松原   暇ですね。  玉城   口に出すな。よけいイヤになる。  松原   たまた・・・まきさんって結構めちゃくちゃっすね。  玉城   うるさい黙れ。  松原   ああー、暇だなぁ・・・・・。  玉城   うるさい黙れ。 松原、ふてくされたようにその辺を散策する。箱の裏側から新聞紙を見つける。それを持って席に着く。  玉城   どうしたん、それ?  松原   落ちてた。  玉城   なんか面白いこと書いてある?  松原   うーん、「レミのわくわくお料理3分」  玉城   何だそれ。  松原   「新聞よんでるみんな、げんきかなー?今日はお母さんと一緒にできる簡単な料理を紹介しちゃうゾ☆まず材料は・・・」  玉城   やめてくれ。  松原   でもこれうまそうですよ。  玉城   なになにーってお前こんなん好きなの?ガキっぽいなぁ  松原   ほっといてくださいよぉ  玉城   トップニュースってなに?  松原   えーっと、一面ですよね。「アンドロイド普及か、未だ続く実験。」って書いてありますけど。  玉城   ああ、ちょっと前のやつだな。その新聞。  松原   何で分かるんですか!?  玉城   いや、ふつーだから。ニュースぐらいみようよ。  松原   ・・・アンドロイドって何なんっすかねぇ、結局。  玉城   まあわかりやすく言うと、ロボットだな。この場合対象になってるのは人間そっくりのロボ、看護とか福祉とか、人間にしかできない作業を代行するために作られたもののことだ。  松原   へー、そんなものまで作れるようになったんですか?にんげんってすごいなぁ、「未だ続く実験」つーのは?  玉城   まだ実用化できるとこまで行ってないらしいからなぁ。いろいろ実験していろんなデーターをとらないといけないらしい。ま、その辺は車とか電化製品と一緒だな。・・・一般常識だと思うんだけど?  松原   あははは、まあいいじゃないですか。実験ってどういうことをしてるんですかね?  玉城   しらないけど、最高級のロボットは飯も食えるって言うし、今俺らがやってる実験とかととあんまかわんないんじゃない?  松原   飯、食えるんだぁ・・・。  玉城   所詮まねごとだろうけどね。  松原   ふーん、あ、それと今何時ですか?  玉城   18時4分、もう夕方だな。  松原   そうですね、きれーなゆうやけ。  玉城   窓があるのか!?  松原   ありませんよ、空想。  玉城   なんだ、紛らわしいこというなよ。  松原   でも昨日の夕焼け、きれいでしたよ。  玉城   夕焼け、か・・・。  松原   どうしたんっすか?たそがれちゃって。  玉城   昔つきあってた人のこと思い出して・・・、  松原   ええっ!!  玉城   何だよその反応は  松原   恋人、恋人。たまたまに恋人・・・。ずいぶん奇特な人だったんですね。  玉城   煩いな。いくら私だって恋人の一人や二人いるって。  松原   どんな人だったんですか?  玉城   弱い人だったよ、傷つくために生まれてきたような人だった。夕焼けをみて「あんなにきれいな夕焼けは、きっともう旅行会社のパンフレットでしか見れないよ。」とかいってた。  松原   暗いなぁ。  玉城   暗いんじゃない、弱いんだよ。  松原   どう違うのさ。  玉城   わかんない?  松原   うん。  玉城   わかんない方が正しいんだろうね、多数派が正しいって事なら。  松原   訳わかんないよたまたま。  玉城   分かったら凄いよ。  松原   じゃあ、分かるように言ってよ。  玉城   別に分かってもらいたい訳じゃないから。  松原   なら言うな。  玉城   そりゃそうだな。松原は恋人いるの?  松原   いるよ。  玉城   えっ、マジで?  松原   その反応むかつくなぁ。  玉城   そうだろ、どんな人?  松原   弁当戦隊玉子レンジャーのブルー  玉城   ああもう好きにしてくれ。  松原   なんでー?素晴らしいじゃん。たったったったったまごーレンジャーいっけいっけ弁当戦隊〜♪  玉城   歌うなアホ!  松原   馬鹿がアホになっちゃった・・・ダウンしたー  玉城   ダウンって何が。  松原   グレードが。  玉城   グレードってなんだよ、このぼんくら  松原   ぼんくら、・・・ぼんくらっすか。  A    はーい、お薬アンドアンケートタァ〜〜〜イムッ! CF ME C・O  玉城   暇だな、非常に暇だ。そう思わないか松原君。  松原   一人でも平気なたちじゃなったんですかー?つーか人格変わってない?今。もう夜でしょ、何時?  玉城   21時48分。晩飯食っちゃったし、すること無いなー  松原   ゲームでももってくりゃぁ良かった  玉城   暇すぎ!!つーわけで松原、またなんか暇つぶしになりそうなアイテムを探せ!  松原   そんなもんすぐに見つかるわけないじゃん。  玉城   うるさーい、とにかくなんか無いか探そう  松原   はいはい。 二人でうろうろその辺を散策 照明CO  玉城   どーした!!  松原   電気のスイッチ消しちゃった。  玉城   馬鹿!早くつけろよ。  松原   う、うん。えーっと SE ぶつかる音 悲鳴    玉城   いてぇ!  松原 たまたま踏まないで!  玉城   スイッチどこー 照明CI  ぐったりした面もちの二人  松原   何にもなかったねー  玉城   読みかけの本があったんだよ、もってくりゃよかった、くそっ。  松原   メールチェックしてぇ!つーかなに読んでたの?たまたま。  玉城   たまたまって・・・あーもーいいよ、もうたまたまで。「冗談」ってタイトルの小説。  松原   おもしろいの?  玉城   それなりに  松原   どんな内容?  玉城   忘れた。  松原   忘れたって・・・ 玉城   なんかおかしーんだよ、ここにいるといろんなことをどんどん忘れていく・・・。  松原   大丈夫?顔色悪いよ?  玉城   ん、大丈夫。 松原   大丈夫って、顔色真っ白だよ。  玉城   大丈夫だから!  松原   でも・・・  玉城   大丈夫だから、もうほっといてよ! A 毛布と薬もって箱の中から登場。 A 就寝時間だよー。早く寝やがれ! CO  CI 二人毛布に包まって寝てる。舞台上手より、目覚し時計ぶら下げたAがダッシュで走る。SE目覚ましの音、起きだす二人。  松原   おはよ、たまたま・・・  玉城   おはよう。 松原   大丈夫?  玉城   うん  松原   なんかぼーっとしてない?  玉城   うん  松原   たまたまー  玉城   うん 松原   頭寝てるよこの人。おきろーっ  玉城   !!!・・・あ、おはよう  松原   どうしたのたまたま、もしかして低血圧な人?  玉城   ・・・え、あ、そうなのかな?よくわかんない。 松原   ま、元気だね。っと、今何時?  玉城   8時3分 松原   ひじょーに健康的だ。 MEラジオ体操。Aの声でアナウンス「歌い踊ってください」  松原   どうする?やる?  玉城   めんどくさい。  松原   じゃー俺もしないでおこう。 ME CO  松原   あれ?切れた。 玉城   俺らは監視されてるっぽいからな。やらないなら流しておかなくてもいいじゃんってことかな? 松原   なんかやだなぁ  玉城   しゃあないよ、10万円、10万10万。  松原   なんか呪文みたい。  玉城   そうだよ、呪文だよ。ここにいるための呪文  松原   呪文なら、いつか切れる?  玉城   わかんないよ、そんなこと。  松原   切れるとおもっとこう。 玉城   そだね、早く外の空気が吸いたい。  松原   えーっと、一泊二日だよね?今日には帰れる!  玉城   どこに帰るの?  松原   そりゃ家だよ、家。  玉城   じゃなくてー、家どこ?  松原   え、丸川だよ  玉城   まじでー、案外近いね  松原   どこすんでんの?  玉城   門山。  松原   ほんとちかい、2駅しかはなれてないじゃん。いつでもあえるね。  玉城   松原とそんなにいつでも会いたくないけどね。  松原   たまたまひどいっ!!  玉城   じょーだんだよ、じょーだん。  松原   たまたまがいうと冗談に聞こえないんですよ・・・  玉城   でもほんと冗談だから、気にしないで。 松原   たまたまの友達にも冗談好きな人いるんだよね。  玉城   えっ?  松原   はなしてくれたじゃん、雨木って人がすごい冗談好きって話し。  玉城   覚えてない  松原   しゃべったのに、覚えてないんですかー?第14次冗談ブームとか。  玉城   そんな、知らない。  松原   しゃべったのを覚えてないなんて、ますます惚けですよそれ。  玉城   雨木なんて知らない、誰?  松原   マジですか? 玉城   知らない。わかんない。どうしよう、どうしよう。  松原   学校の話ですよ!してくれたじゃないですか!!  玉城   しらない、知らない。 A 舞台上手より登場、箱からコップを出してくる。  松原   ちょっとあんた!!実験の中断を要請する!たまたまの調子がおかしいんだ。  A    実験は、なにがあろうと続きます。これを着用して、安静にしてください。 松原   なんか病気かもしんないんだぞ!あんたそれでも人間か!! 玉城、いきなりAを殴る  玉城   無駄だよ、こいつはロボットだもん  松原   たまたま!大丈夫?  玉城   うん、だいぶ落ち着いた。逃げよう。  松原   えっ、なんでー?  玉城   思い出したんだ。  松原   よかったじゃん。 玉城   とにかく逃げなきゃ!  松原   なにがなんだかわかんないよ、説明して。  玉城   走りながらするから、はやく!! 退場、CO CI  松原   今何時何分?  玉城   9時32分、2日目。  松原   長かったね。  玉城   ああ  松原   さっき、あいつのことロボットって分かったのは。どうして?  玉城   忘れていって、思い出したんだ。  松原   たまたま、なに言ってるの?  玉城   松原、昨日私たち新聞よんだよね。 松原   うん、よんだよ。ロボットのこととかたまたまに教えてもらった。今も実験とかしてるんだよね。   玉城   その、実験が今やってるこれだといったら、どうする?  松原   つまんないよ、その冗談。あ、もしかして今第15次冗談ブーム?しまった乗り遅れたー  玉城   まじめに聞け。  松原   もしそれがほんとだとしてもさぁ、名前とかは、今までしゃべってた過去って何?  玉城   本物のタマキはどこかにいる。  松原   そんな嘘ばっかり  玉城   まだわかんないの?  松原   わかんないよ!全然わかんないよ!!!じゃああんたは誰なんだよ!!  玉城   玉城という人物の記憶を植え付けられた、ロボットさ。実験の一環なんだ、人としての記憶を持ったロボットが、どう動くかの。玉城なんてほんとはどこにもいないのかもしれない、きっと誰かをモデルに適当に作った記憶だろう、もう忘れちゃってるから確証はないけど、つじつまの合わない記憶もあったから。人の記憶が、たぶんプログラムミスでどんどん消えていって、そのせいで私がロボットだということを思い出した。  松原   じゃぁ、「たまき」はたまたまはどうなるの?  玉城   私は、もう不良品ということになってしまっているだろうから。良くてデーターの書き換え、悪くてスクラップだろうな。  松原   それ、たまたまが死ぬって事じゃん!  玉城   私に、死という概念はない。人間としての記憶は今この瞬間にも消えていっている、すべてが消えたとき自分がどうなるかわかんない。  松原   じゃあ、最後まで一緒にいるよ。最後まで一緒にいよう。  玉城   いや、松原は帰れ。  松原   なんで!?  玉城   これから先、自分がどう動くのか確証がないんだ、傷つけたくない。だから帰れ。  松原   でも、一緒にいたいよ。  玉城   だめだ帰れ。ほら、そこの裏が階段になってるはずだ。  松原   これ?  玉城   そうそれ。じゃぁ、またね。  松原   うん、またね。なんてゆーとおもったのかぁ!!  玉城   馬鹿、はやくいけ!! 松原   ここまできたらもう同じだ!ついてくからな  玉城   馬鹿!!  松原   ついてくからな!  玉城   勝手にしろ。  松原   そういえばさぁ、逃げようっていったの何?  玉城   ああ、あれか?いやもう実験イヤだったし。私あのままだとスクラップ確実だし。  松原   ふーん、逃げてどこ行くの?  玉城   夕日がみたいな。実は生夕日みたこと無いんだ。  松原   いいねぇ、生夕日!私もなんだか懐かしいよ。  玉城   とりあえず、外にでないと。 松原   外に出たらさ、玉子レンジャーの件、考えといてよ。やっぱり暗い過去があるのが一人ぐらいいたほうがいいし。  玉城   馬鹿。やだよ。  松原   ちぇー。 SEサイレン シャッターの閉まる音  松原   廊下しまっちゃったよ!?  玉城   なに? アナウンス  実験体 no.12。実験体 no.12。聞いていますか?聞いていたら今すぐ第二会議室に来てください。聞こえますか?繰り返します・・・ 玉城松原、退場。CO Aイスに座っている。登場  松原   ね、ねぇたまたま。あれ!  A    待っていました。  玉城 きてやったぞ、解剖するなりなんなりしろよ。  松原   たまたまの活け作りなんてみたくないけど。 A    待っていました。  玉城   人間出せよ。  A    待っていました。  玉城   畜生、俺は人間だっ!  松原   たまたま!!  A    待っていました。  玉城   人間だっ!!  A    あなたはロボットです、自覚しなさい。  玉城   私は人間だ。  松原   たまたま、自分のことロボットって言ってなかった?  玉城   そんなことは、忘れた!!私は人間で、ここを出て夕焼けを見に行く!  A    あなた結局は捨てごまなのです、研究素材の一つなのです、プロトタイプなのです、よりよい完成品を作るための。実験体 no.12、自覚しなさい。  玉城   私は人間だ。今すぐ私たちを解放しろ。  A    それは出来ない。自らを人間と誤認したロボットを出すなんて、そんな危険なことはありません。 A、銃を出す。  松原   たまたま、あいつ銃持ってるよ!?  玉城   みたら分かるよ。  A    貴方の役目は終わりました、no.12、後はデータの最終だけです。私は銃を持っていますし、貴方よりも性能は上です。あきらめなさい。  松原   こーゆー場面で、たまたまみたいなキャラは死なないんだ! 玉城   そんなお約束が通用するかな。とりあえず外に出たいだけなんだけど SE 銃 玉城倒れる  A    残念、しません。  松原   え、嘘だ。  A    嘘じゃありません。さぁお帰りはあちらですよ。あ、どうです記念にno.12のコードでももって帰ります?私はこれを研究室に持っていかないと、その後どうせ廃棄処分ですけど。  松原   嘘だろ、たまたまーっ!! 玉城ゆっくり起きあがる  A    しまった、no.15までは頭じゃなくて胸に中枢があるのでしたね。次ははずさないようにしないと。  玉城   あのさ、松原には悪いんだけど。私が人間でいられる方法見つけたよ。  松原   え?  玉城   ねぇ、廃棄処分ってさここにあるダストボックスに私をつっこむって事?  A    行き着くところは同じですけど。何をする気ですか?  玉城   自殺って、ロボットには出来ないんだよね。ロボット三原則って知ってる?禁止されてるんだよ。  松原   訳わかんないよ、しっかりしてよ。  玉城   松原ぁ、お前もーちょっと勉強した方がいいよ。  A    まさか、止めなさい!貴方のデータはまだ要るんですよ。  玉城   私は人間だよ。  玉城、箱に登って飛び降りる。A、松原退場。  玉城   うわ、パイプがちょうど十字架みたいになってるよ。私の墓標か、奇跡でも偶然でもイイや。人間ぽくて。 あー、空見えんじゃん。綺麗な夕焼けだ。・・・私は人間に、なれたかなぁ。ねぇ松原、どう思う? CO 松原、立ちつくしている。 そこに玉城登場。  玉城   どうしましたか?  松原   友達が、いなくなってしまったんです。  玉城   喧嘩でもしましたか?  松原   いいえ。  玉城   旅行にでも行かれたんですか?  松原   いいえ、ちがいます。  玉城   まあ、早く退いた方がいいですよ、ここは車が良く通るから。  松原   そうですね。どうしてこんなに人が多いのかな  玉城   ここはロボットの研究をしているところなんです、働いている人も多いですからね。  松原   あなたも?  玉城   はい、実はね、今。私をモデルにしたロボットで実験をしているところなんですよ。  松原   へぇ・・・ロボットの名前は?  玉城   私と同じ名前を、玉城とつけました。  松原   卵焼きは塩派ですか? 玉城   甘い卵焼きなんて卵焼きじゃないと思います。それがどうか   松原   ・・・私の友達も同じ名前で同じ考えですよ。  玉城   奇遇ですね。良かったらその友達のこと聞かせてください。今日は少し時間があるので、食堂のコーヒーで良ければ。  松原   いいですね、その玉城っていうひとはね・・・ FO