不条理すら向日葵

 アレだ学校とかによくある長方形の板にキャスター付けて手すりみたいなコの字型のパイプのついた台車?
 まあ正式名称なんか別に良い。一番大事なのは今全力でその手すりを持って走っている彼をどうにかしないといけないわけで、普段なら蹴りの一発でも入れてやるところのなのだが生憎無理だ。だってその板の上に載ってるの俺だし。
「慣性ドリフトー!ぎゃぎゃぎゃーっ」
ホントに誰か止めろよ。

 最初はそうだ、図書館から廃棄図書を移動するために、これを出してきたんだ。で、何キロまでいけるのかと言う話になってちょっとお前乗れよって、
「ジグザグスペシャルー!」
何がなんだか。

 このままだと死ぬ、きっと死ぬ。転げ死ぬかぶつかり死ぬかの二択ってやあねえ。現に板の両端を握りしめている俺の掌からは徐々に感覚が失せつつあった。
「ジグジグスパトニックー!」
変わってるって!いつの間にかジャンル違うって!!

 思い出せ、何でこんな事になっているんだ?確かに俺は台車に乗った、そしてその上で飛び跳ねたりした。だがすぐに降りたじゃないか。すぐに降りて彼と共に本を積み始めた。確かに。
「ロマンポルシェー!」
あれ?何でこの台車、本を載せてないんだ?

 本はどこへ行ったのだろう、あれ?散らかった本、廃棄図書、と新刊。新刊?どうしてだろう、新刊なんて棚に入っているモノだろ。おかしくないか。
「やーぷーぅーずー!」
発声が原型止めてないよ。

 原型、止めてない?あれ?そういえば、俺の右足はどこだ?
 板のはじっこを振り落とされないようにつかむ両手の感触、痛い。当たり前だ、指が両手で7本しかない。おかしな風に畳んで地面にすれないようにしている左足。右足は、右足はどこだ。
「急患です!」
台車と思っていたのは、白いシーツの敷かれたストレッチャー。

「ええ、学校で……図書委員の仕事してたんです。バンド名古今東西とかやりながら。こんな事になるなんて……」

 俺の耳元ではまだ風がごうごう鳴っているのに、彼の声だけがやたら鮮明に聞こえてくる。目を開けなくっちゃ。見えたのは花瓶に生けられた黄色い向日葵。道端で見るものの三割くらいの大きさしかなくて。悲しく貧相だった。
「急にその男が持ってた紙包みを投げて、それが爆発して」
あ、最近流行の通り魔ね。新しいね、爆弾とか。
「彼はこんな変わり果てた姿に」
泣くなって。なんか無いはずの右足が痛む。
 どうにかしてくれ、いったい何なんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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